化学業界のグローバルリーダーが、営業担当者に統計ツールの教育と経験を提供することで、見込み客と顧客に自社製品とサービスの価値を理解してもらい、売上増加につながる強力な方法を作成しました。
Buckmanは、製紙、皮革製造、水処理の向上に取り組むグローバルな化学企業として、自社事業の継続的改善にも取り組んでいます。この哲学により、卓越したサービスと革新的な化学ソリューションを客先に提供でき、客先の生産性の向上、リスクの軽減、品質の向上、測定可能な投資収益率の提供に役立っています。
Buckman独自の継続的改善の取り組みは、自社の海外事業も対象です。BuckmanはLean Six Sigmaと統計を使用して、社内改善プロジェクトを実施します。Buckmanはまた、Lean Six Sigmaと統計ツールの使い方を技術営業チームに教育して、顧客により多くの価値を提供できるようにしています。Minitab Statistical Softwareを使用してデータ分析を支援することで、売上を伸ばし、事業を変革する新しい方法を作成しました。
課題
Buckmanの品質の取り組みは、他の多くの企業も直面している問題への対応から始まりました。
Lean Six Sigma黒帯マスター、Buckman上級組織開発コンサルタントのDrew Mohlerさんはこう話します。「売上は堅調に伸びていましたが、営業利益はほぼ横ばいでした。売上増加の利点を超える活動とコスト増加があったため、売上と利益のギャップの拡大は、継続的改善イニシアチブという『鬨の声』になりました。」
Buckmanはまず、非付加価値活動をなくすことを目標に、組織全体のすべての職務を評価しました。
「取り組みは、組織が仕事のやり方をどのように見るかのパラダイムシフトを引き起こしました。より良い、より速い、またはより費用効果の高い仕事のやり方を常に考えるという全社的な哲学がたたき込まれました。」とMohlerさん。
これを意識しながら、BuckmanはLean Six Sigmaツールを各グローバルオペレーションのプロジェクト遂行フレームワークとして使い、継続的改善プログラムを構築し始めました。営業員へのLean Six Sigmaの教育を担当したMohlerさんは、データ分析スキルがチームの改善プロジェクト成功の鍵になると考えていました。同時に、重要な疑問を持ちました。社内の誰が統計ツールを理解して使用すれば、利益になるのかです。
Minitabによる支援方法
Lean Six Sigmaを展開する多くの組織で、統計ツールの教育は、DMAIC(定義、測定、分析、改善、管理)に基づく幅広いツールセットの一部として、緑帯コースか黒帯コースで行なわれます。この展開では、統計ツールの使用は、改善プロジェクトの作業のみを中心に構成されます。Buckmanは、別のアプローチを選択しました。Lean Six Sigmaの統計ツールがどのようなデータ分析にも役立つことを認識していたためです。このツールがDMAICモデルと切り離して教育される場合、緑帯や黒帯よりも幅広く対象をとって行なうことができます。
「Lean Six Sigmaの展開にLeanアプローチを採用しました。統計ツールを使用すべき従業員の多くが、Lean Six Sigma帯コースの完全なカリキュラムの恩恵を受けられないと気づいたからです。対象を広げて、このツールを学ぶべき重要なグループが営業担当者であることに気づきました。」とMohlerさん。
Buckmanでは、化学、生物学、またはエンジニアリング畑の出身の技術営業員が、顧客と直接協力して、顧客にプロセスを評価してもらい、改善の機会を探ります。顧客データの分析は、Buckmanの営業の重要な部分です。
「技術営業チームはBuckmanの化学ソリューションを用いて、お客様のシステムを向上させようとします。お客様の工程エンジニア的な役割を果たしています。」
Mohlerさんと同僚は、Lean Six Sigmaコースを2コース開発しました。1つ目のコース、黄帯コースは、従来のDMAICと品質改善の「ソフト」ツールが中心です。これは、簡単な改善プロジェクトを率いる要員に教えるコースです。2つ目のコースは、組織の営業員を対象としたデータ分析および統計ツールのコースです。
統計トレーニングのバックボーンとしてDMAICフレームワークを使用する代わりに、営業プロセスの各ステップに、適切な統計ツールを関連付けました。このフレームワークでは、営業フローを小さく分割して、以下の目的で使用するデータ分析活動を管理できるようにしました。
- 顧客プロセスの知識を得る
- 新しい化学プログラムを計画、実行、評価、販売する
- 進行中の化学プログラムを管理する
- アカウント内の問題を解決する
「最終的な目標は、営業担当者が実用的な統計ツールを気楽に使えるようにすることです。そうすればお客様を支援できる推奨事項(データ駆動型推奨事項)をうまく作成できるようになります。顧客満足度の向上に焦点を当てることで、Buckmanの収益性と持続可能性を高められると考えています。」とMohlerさん。
統計学のクラスでは、仕事の活動に必要なツールについて学びます。管理図、仮説検定、能力分析、相関などの概念は、Minitab Statistical Softwareのデータ分析ツール使用例で学びます。
工程能力(工程が顧客要件を満たす出力を生成できるかを判断するもの)などの統計分析を実行するために、Minitab Assistantを使用します。Assistantは、ユーザーの分析を段階的にガイドするメニューベースのツールです。これには、データの調査に使用する分析を簡単に選択できる決定木が含まれています。
「統計を学ぶとき、複雑だと嫌なものです。決定木があれば、どの分析を使うかを選ぶことができるので、とても便利です。統計の学習は非常にとっつきにくいですが、Assistantがあれば違います。」とMohlerさん。
営業員は、Minitabのさまざまなグラフやチャートを使用してデータを視覚化することも学びます。たとえば、Buckmanのある顧客向けに生産している紙の色の明るさを改善する試みで、試験前と試験中のデータを収集して、製品に差が出たかを営業員が評価するとします。段階的管理図は、化学物質が工程に与えた影響を示す強力なツールです。
営業員は、Assistantを使用して仮説検定を実行することも学びました。仮説検定で、データの標本に母集団全体の特定の結論を推測するに十分な証拠があるかを判断できます。
Buckman製品に統計的に有意な改善があったかを判断するために、Minitabの2標本t検定を実行して2つの平均の差を評価することを学びます。結果が出る前と途中の平均を取って試験成功を発表するのではなく、統計ツールを使用して試験結果をより正確に評価することを学びます。
Assistantの組み込みの解釈により、営業員は2つの平均の間に統計的に有意な差があるかを簡単に確認できるので、顧客と一緒に試験の成功を確認できます。
「Minitabを使うことで、統計をわかりやすく説明し、実際よりも複雑だととらえられがちなことをうまく教えることができました。当社の営業担当者はデータ分析をしっかりと理解し、そのメリットを目の当たりにしました。」とMohlerさん。
MohlerさんとLean Six Sigma展開チームは、統計ツールの補足的な学習ガイダンスとして、営業員がQualityTrainerにアクセスできるようにしました。これは、品質統計とMinitabでのデータ分析のしかたを教えるMinitabのeラーニングコースです。
「Quality Trainerがあれば、トレーニング参加前と参加後のどちらでも、統計ツールについての理解を深められます。MinitabとQualityTrainerは、簡単に習得して使用できる強力なツールです。トレーニングと無料の技術サポートリソースが同時ユーザーライセンスに含まれていて、ありがたいです。」とMohlerさん。
結果
Buckmanは、3年前に統計ツールの教育を開始して以来、世界中で500人以上の外勤営業員に教えています。結果は社内の他の部門からも注目されています。
「当社の研究開発チームは、日常的にデータ分析を行なっているので、Minitabの活用方法を学ぶことに興味を持っています。現在、製品開発や実験室の試験に役立つ分析ツールを中心としたクラスを開発しています。社内の誰もがデータ駆動型の意思決定を行えるようにするアプローチが新たな社風になりました。」とMohlerさん。
Buckmanのある工場では、エンジニアがMinitabのトレーニングを受けたいと思い、営業員のクラスの1つに参加しました。「トレーニングの2~3日目にオフィスに戻って、Minitabで能力調査を実施しました。工場が1つの製品の工程パラメータをわずかに調整することで、年間4万ドル以上節約できることに気づきました。」とMohlerさん。
Buckmanの営業員は、統計トレーニングを受けてコンバージョン率を高めていますが、より重要なこととして、顧客により多くの価値を提供しています。
「営業員に統計トレーニングを行なってデータ分析スキルが向上したため、新しい事業を売却したまたは既存の事業を保護した例があります。ですが、何よりも、営業員に自信がつきました。
舞台裏で統計作業を行っているので、自社製品のメリットを説明する準備が整っており、お客様はシステムについてより多くの知識があると考えています。これだけでも、トレーニングプログラムは成功です。」とMohlerさん。
幹部レベルで継続的改善プロジェクトとして始まったものは、すぐに組織の他の部門に浸透しました。
「当社には継続的改善とデータ駆動型の考え方があり、この文化が長期的な成功に不可欠であると考えています。データを使用する人なら誰でもMinitabで恩恵を得られるでしょう。」とMohlerさん。
組織
Buckman
概要
- パルプ製紙、皮革、水処理業界向けの革新的なソリューションを専門とするグローバルな化学企業
- 本社テネシー州メンフィス
- 従業員数1,600人以上
- 90郡以上に顧客
- 世界中に生産施設
課題
技術営業員がデータを使用して、顧客のプロセス改善と、自分の営業改善をします。
使用された製品
Minitab® Statistical Software
Quality Trainer®
結果
- 世界中で500人以上の外勤営業員に教育
- 顧客満足度向上
- クロージングビジネスのコンバージョン率向上
- 社内の他の部門にLean Six Sigma展開を拡張