Riverview Hospital Association:患者満足度の向上

ウィスコンシン州ラピッズと周辺地域で医療活動を行なう医療機関Riverview Hospital Associationは、この病院のほか、がんセンター、歯科施設、一次医療を提供する多数のファミリークリニックを所有および運営しています。患者に良心的な価格を維持しながら、地域社会に思いやりのある最先端医療を提供しています。

米国の医療システムで行なわれた最近の変更により、Riverviewなどの医療機関は、医療の質と患者満足度の向上にこれまで以上に重点を置くことになりました。Riverview Hospital AssociationのLean Six Sigma・品質改善ディレクターChristopher Sprangerさんはこう話します。「医療制度改革のこの時代、医療機関が医療提供を改善するための体系的な方法を確保することがより重要になっています。私達はLean Six Sigmaプログラムを4年実施しており、病院をより安全で効率的なものにする方法に継続的に取り組んでいます。」Riverview Hospital Associationは、米国の高齢者・障碍者向け医療保険制度メディケアの支払いが医療機関に割り当てられる方法などの変更に対処するために、Lean Six SigmaとMinitab Statistical Softwareを頼りに、患者満足度と医療の質のデータ駆動型改善を行なっています。

 

課題

価値に応じた購入(VBP)では、病院が受け取るメディケア支払いの一部が、治療を受けるメディケア患者の人数だけでなく、患者満足度と医療の質に直接関係しています。メディケア・メディケイド・サービス・センター(CMS)の新しい規則により、高い質の医療基準を満たしている、または十分な改善が見られた病院には、メディケアの特別給付があります。基準を満たしていない病院は、メディケア支払いが減額される可能性があります。「ほぼすべての病院が高い割合でメディケア患者の治療を行なっています。そのため、この規則は、当院や他の多くの病院に、かなりの経済的影響を伴う重大な課題を提示します。」とSprangerさん。

Riverview Hospital Associationは、Minitab Statistical Softwareを頼りにして、Lean Six Sigmaプログラムのデータを分析しています。

特別給付は、病院が2つの領域の採点で何点をもらえるかによって決まります。1つ目の領域は、臨床プロセスです。病院のパフォーマンスが、事前定義された12の臨床指標を満たすかが判断されます。2つ目の領域は、全体的な患者体験に基づき、病院利用者による医療機関および医療システム評価(HCAHPS)で測定されます。HCAHPS評価点は、特定の側面またはカテゴリの質問に対する肯定的な回答の割合によって変わってきます。側面には、医師や看護師とのコミュニケーション、退院情報の明確さ、病院全体の評価などが含まれます。

SprangerさんとLean Six Sigmaチームは、病院の全体的なHCAHPS評価点が退院情報の側面で望ましい点よりも低いことに気づき、Lean Six Sigmaとデータ分析で評価点を上げる取り組みを始めました。

 

Minitabによる支援方法

Lean Six Sigmaチームの目標は、「はい/いいえ」で答えるHCAHPSの以下の質問で「はい」の割合を増やすことでした。「入院中、医師、看護師、または病院の他のスタッフは、あなたが退院したときに必要な支援を得られるかについて、あなたに話しましたか?」チームはまず、Minitab管理図で過去24か月の結果をプロットすることにより、基線パフォーマンスを評価しました。管理図では、データが順番にプロットされるため、プロセスが時系列でどのように変化するか、その変化が異常かを簡単に確認できます。安定したプロセスとの現在の肯定的な月次平均回答率85%が明らかになりました。目標は、肯定的な月次平均回答率を高め、事前設定されたベンチマーク91%以上にすることでした。

Minitab管理図を使用して、Riverview Hospital AssociationのLean Six Sigmaチームは、数か月の基線の肯定的な顧客満足度の応答率を評価および確認しました。

評価点を下げる根本的な要因を特定するために、HCAHPSの一環として収集された、患者に関する手元のデータを分析することにしました。回答者の年齢、性別、在院期間、第一言語、教育水準、訪問した病院組織などにアクセスできました。Minitabのチャート、ヒストグラム、プロットを使用して、変数と応答をグラフで調べることができ、データのパターンと傾向を簡単に確認できました。

チームは変数をさらに分析し、Minitab Assistantを使用しました。これは、段階的に統計分析をガイドするメニューベースのツールです。インタラクティブな決定木に従って、使用する分析を定め、分散分析(ANOVA)を選択して標本平均を比較し、HCAHPSの質問に影響を与えそうな変数内の有意差を探しました。

Minitab Assistantメニューを使用すると、評価点の低い特定の患者を特定する分析を簡単に選択できます。上記のANOVAを使用して、年齢層別の平均応答に統計的に有意な差があることがわかり、改善の取り組みでここに焦点を当てることができました。

チームは、回答者の教育水準または第一言語の違いを調べることで、低い評価点の洞察を得ることができるという事前設定した仮定で、このプロジェクトを開始しましたが、変数の分析で統計的な有意性は見られませんでした。他の変数の分析で、回答者の年齢層と訪問した病院組織に統計的に有意な差がありました。「Minitabでデータを分析することで、評価点の低い特定の患者を特定し、プロセス改善の取り組みをその患者に向けることができました。大きな問題に取り組み、限られた患者まで絞り込むことができました。」とSprangerさん。

 

結果

Riverview Hospital AssociationのLean Six Sigmaチームは、プロジェクトの範囲を絞り込み、得た洞察から、評価点が最も低い患者の満足度を上げることができました。「これまでも、医療機関は職員の教育や大規模な解決策を通じて患者満足度を高めようとしていました。私達はデータ駆動型アプローチで、改善の焦点をより絞り込むことができるようになりました。」とSprangerさん。このプロジェクトの改善は、評価点の低い特定の年齢層の患者と、特定の病院組織に入院した患者を対象としています。

チームは、教育のタイミング、介護する家族の関与、患者の転帰の明確化など、現在の患者の退院プロセスで特定された主要な問題を解決するためにも、改善の取り組みを行ないました。退院教育プロセスを3フェーズに設計しなおして、以前のタイミングの問題に対処し、一貫性を確保するために一次医療の医院と協力し、一次介護家族が退院後に医療管理者と関わりを持てるプロセスを作成し、あいまいと見なされた退院書類の用語を明確にしました。

チームはこの改善戦略を実施した後、プロジェクト開始前の回答「はい」の割合と現在の割合を比較しました。「はい」の回答の割合は大きく高まり、肯定的な月次平均回答率91%以上という目標を達成しました。現在、Sprangerさんとそのチームは、このプロジェクトを通じて得た他の教訓を活かし、他のHCAHPSの側面を分析および改善するために追加の改善チームを編成しています。「最終目標は患者体験の向上です。RiverviewのLean Six Sigmaチームは、このような取り組みを通じて、使命を遂行し続けています。」とSprangerさん。

組織

Riverview Hospital Association

 

概要

  • 1912年開業
  • ウィスコンシン州中部の地域所有の独立した医療機関
  • Riverview Hospital、複数の診療所、がんセンター、関節置換センター、創傷治癒センター、歯科施設など

 

課題

患者満足度の向上

 

使用された製品

Minitab® Statistical Software

 

結果

  • I患者の退院教育プロセスを向上
  • 調査の肯定的な月次平均回答率を向上
  • 患者満足度を高めるために将来のプロジェクトに教訓を活用