2008年、世界トップのリン酸・カリ肥料生産会社であるMosaic社は、フロリダ州に所有するウィンゲート・リン鉱山運営の生産性を高める活動を開始しました。この業界では、鉱石から抽出できる貴重な原料の割合(ロックリカバリー)は、平均で85%から95%です。ウィンゲート鉱山のロックリカバリー率はちょうど47%だったのですが、この数字を見たとき、長期的にこの鉱山でいつまで採掘できるかという心配が生まれました。マネジャーたちは当初、どうせたいして変わらないだろうと思っていました。しかし、プロセス改善に関する優れた知識とMinitab® Statistical Softwareなどのパワフルなツールを備えたシックスシグマのチームが、生産性を50%以上向上させ、年間1,200万ドル以上の経済効果を実現しました。さらに、チームが実施したプロジェクトは、国際品質・生産性評議会から、2009年プロセスエクセレンス賞を授与されました。
課題
ウィンゲート鉱山は長年にもわたり複数の企業が所有していましたが、期待に応える業績をあげることができず、1999年に閉山されました。2007年にMosaic社が購入して再開しましたが、鉱山のリカバリー率は低く、継続的に運営を続けることができませんでした。
リンは、選鉱と呼ばれる工程により原鉱から抽出されます。ウィンゲートでは、採掘された鉱石は、ピットにスラリー状態で流し込まれたあと、選鉱プラントにポンプで運搬されます。そこで、洗浄しふるいにかけて、リン鉱石と砂利、細かい粘土、砂とに選別されます。リン鉱石は、試薬を使って処理され、さらに製錬されます。しかしこの工程を経ても、ウィンゲート鉱山は目標に到達していなかったのです。そこで、Six Sigmaブラックベルトのジョー・グリクスマンとジョン・ホイットニーが解決を任されました。二人は品質改善手法の知識を活用して、鉱山スタッフが生産性を向上する手助けをしました。そしてこの二人が、Mosaic社にMinitabを紹介したのです。
Mosaic社は、Cargill 社とInternational Minerals Corporation社との統合により2004年に設立されて以来、Lean Six Sigmaに投資してきました。2008年だけで、同社で実施した様々な品質改善策には、45を超えるチームの500人以上の従業員が参加、その結果、2500万ドル近い最終収益を達成しました。しかしウィンゲート鉱山チームが作業を開始した当初は、ほとんど期待されていませんでした。「マネジャーのみなさんは、リカバリー率が2%か3%上がればいいと思っていました」と、当時を思い出して語るグリクスマン。「『この鉱山では70%のリカバリー率を維持するのは奇跡だ』と言われましたよ」
Minitabの貢献
顧客
Mosaic Corporation
概要
- 世界トップのリン酸・カリ肥料生産会社
- 年間純売上高98億ドル以上
- 世界の従業員数およそ7,400名
使用製品
Minitab® Statistical Software
結果
- リカバリー率が80%以上に上昇
- 濃縮リン鉱石の生産が50%強増加
- 年間1200万ドルの経済的利益
- うち800万ドルは生産量増に起因
- 鉱石1トンあたりの処理に必要な試薬量の減少により400万ドルのコスト削減