シールで知る:Boston Scientific Herediaが包装工程の変更を検証

世界中の医師が無数の患者を診察および治療するときに自社製品を頼りにしていたら、製品が安全かつ可能な限り良心的な価格であることを確認しなければなりません。

Boston Scientific Herediaが定期的に稼働を評価し、工程の効率を維持し、コストを削減して良心的な価格の医療に貢献しているのは、そのためです。Boston Scientificは30年以上、医療技術設備を開発、製造、販売しており、幅広い医療分野にサービスを提供しています。

コスタリカ・エレディアの施設では、包装エンジニアのDaniel Calvo Camachoさんが、カテーテル留置や内視鏡診断などの手順で使用されるガイドワイヤーの包装を合理化する取り組みを主導して、新しい小型のビニールパウチを導入しました。

施設のエンジニアは、Minitab Statistical Softwareを使用して包装工程の評価と検証を行いました。これにより、Boston Scientificは、コスト節約になるパウチの再設計を自信を持って進めることができました。

課題

Boston ScientificのAmplatz Super Stiffガイドワイヤーを包装するパウチに別の小さな素材を使用すると、材料費を大幅に削減できますが、新しいパウチが工程でうまく密封されることを確認する必要がありました。パウチをしっかりと密封すれば、使用までガイドワイヤーを無菌状態に保つことができます。

guidewires are shown loaded in a pouch, ready for sealing.

Boston Scientificのコスタリカ・エレディア施設のプロジェクトチームは、Minitab Statistical Softwareを使用して、治療用ガイドワイヤーを包装するパウチ密封工程の検証データを分析しました。上に示されているのは、ガイドワイヤーがパウチに送られて、密封の準備ができているところです。

クリーンルームで、オペレーターがガイドワイヤーをパウチに入れ、パウチを逆さまにして密封コンベヤに置きます。各パウチの開いている端部が、熱と圧力を加える前バンドと後バンドの間を通り、剥離可能な密封になります。

包装エンジニアは、小さいパウチの密封の強度が基準以上かを確認しました。工程を評価し、密封システムの前後加熱バンドの温度やシステムの速度など、複数の入力変数を特定しました。

次に、チームは各変数を評価し、パウチの密封の質への影響を割り出しました。どの入力が最も重要か?また、各パウチが強力に密閉されるように、システムの温度と速度の設定をどうすればいいのか?

Minitabによる支援方法

ここで、実験計画と呼ばれる統計手法の登場です。実験計画では、一度に複数の入力変数を変更および評価し、統計分析を用いて、対象の入力変数すべてについて意義ある結果を得ることができます。重要な要素をすばやく割り出し、工程を調整して所望の結果を得ます。

Minitab Statistical Softwareを使用すると、さまざまな計画実験を簡単に作成、分析できます。Calvo Camachoさんは、2水準、完全実施要因計画の実験を作成しました。これにより、チームはすべての入力変数とその間の2要因交互作用を評価できます。

「実験計画作成前の工程パラメータを評価した後、チームの実験に役立つさまざまな要因とその水準を選択しました」とCalvo Camachoさんは話します。次に、チームは実験データの収集を始めました。Minitabの実験計画ツールは、実行リストを作成し、それぞれが各要因の2水準の異なる組み合わせを指定します。オペレーターが各実験条件の標本密封を作成し、次にCalvo Camachoさんとそのチームが各密封の強度を測定しました。すべての実験が完了してから、Minitabで結果を分析しました。

これにより、前部と後部の温度、その間の2要因交互作用が重要な要因であることを特定できました。速度は密封強度の重要な要因ではなかったため、モデルから削除することができました。従来の一時一事法(OFAT)の実験では、長期的に、工程管理の問題を引き起こす重要な交互作用を見逃していた可能性があります。

A chart titled Pareto Chart of the Standardized Effects (response is Average Pull, Alpha = 0.05) The Y axis is labelled Term and divided by A, B, and AB. The X axis is labelled Standardized Effect. The Chart identifies the factors that significantly affect seal strength: front temperature, rear temperature, and their respective two-way interaction.

上記のPareto図には、密封強度に大きく影響する要因が示されています。前面の温度、後部の温度、それぞれの2要因交互作用です。

A chart titled Contour Plot of Average Pull vs Rear Temperature, Front Temperature - low settings. This contour plot reveals the temperature ranges under which seal strength met or exceeded specifications.

また、Minitabを使用して、密封強度が仕様以上の温度範囲を示す等高線図を作成しました。

計画実験で特定した重要な要因に焦点を当てることで、新しいパウチの密封が強力になる最適なプロセス設定を考え出しました。次に、Minitabの能力分析と呼ばれるツールを使用して、新しい工程設定の有効性を検証しました。このツールは、工程が仕様を満たし、良品を製造できるかを示します。温度が高いほど密封が強くなることを意識しながら、割り出した最適な工程設定でパウチを密封しました。次に、パウチの密封強度を測定し、能力分析を実行して、下側仕様限界に関連する測定値を評価しました。能力分析で、提案の温度設定が最小密封強度要件以上であることが示されました。

A graph titled Process capability of High Setting - Seal Strength shows the proposed temperature settings would allow them to achieve end production goals.

チームは、Minitabで工程能力分析を実行し、提案の温度設定で最終製造目標を達成することを証明できました。

Minitab Statistical Softwareを使用しながら実行した実験とデータ分析から、チームは包装システムが効率的に機能し、新しいパウチでも引き続き機能することを実証できました。

結果

慎重なデータ分析から、密封システムの有効性が示されたので、コスタリカの施設は新しいビニールパウチの使用を開始でき、大幅な節約になります。「品質とサービスを向上させるために工程を毎年評価していますが、コスト削減の機会も積極的に探しています。」とCalvo Camachoさん。

Boston Scientificでは、新しいパウチの採用が全社的な包装合理化の幅広い取り組みの支えとなっています。このプロジェクトにより、これまでに合計33万ドル強を節約できました。さらに、工程検証により、変更と節約が維持できることを確認しました。これはBoston Scientificにとって、最終的にはこの製品を頼りにする医師や患者にとって喜ばしい話です。

「1日の終わりに、節約できているお金が多いほど、提供先の皆様に多くを還元することができるのです。」とCalvo Camachoさん。

 

組織

Boston Scientific

 

概要

  • 世界的な大手医療機器開発者、製造者、販売者
  • 心臓、消化器、肺、血管、泌尿器、婦人科系、慢性的な痛みなど、さまざまな病状の治療に使用される製品
  • 世界の従業員数およそ2万3,000名

 

課題

コスタリカ・エレディアの施設で最適な工程条件を定義し、材料費を削減するために、パウチ密封工程を評価。

 

使用された製品

Minitab® Statistical Software

 

結果

  • データ分析でパウチの密封工程を検証し、主要な入力を特定
  • 材料費を大幅に削減できる新しいパウチを採用
  • 複数の部門でガードワイヤー包装を合理化