米国サウスカロライナ州に本社を置く京セラAVXは、高度な電子部品の大手グローバルメーカーです。15カ国以上に数十もの研究、開発、製造拠点を有し、世界規模で事業を展開しています。

同社の企業品質ディレクターを約5年間務めるLori Gioia氏は、品質と継続的改善における20年以上の経験があり、Six Sigmaブラックベルトホルダーでもあります。また、ディレクターとして世界30カ所以上に及ぶ同社工場の品質プログラムを主導しています。

課題

京セラAVXは世界中に製造施設を有し、各施設がそれぞれ独自の品質管理システムと継続的改善プログラムを運用しています。一方で、同社の経営陣は各工場の取り組みの実情をリアルタイムに把握できずにいました。2020年、京セラAVXは全社的なシステムのグローバル化を計画し、その第一歩として、顧客クレーム対応システムの標準化に着手しました。

同社の要望

  • テンプレートとトレーニングを標準化し、世界中の顧客に向けて一貫したメッセージを発信できるようにする。
  • 顧客の声を研究開発や企業戦略計画により容易に反映できるようにする。
  • 得られた教訓を類似地域や事業間でより容易に共有できるようにする。
  • 経営陣がリアルタイムにプロジェクトの現状を把握できるようにすることで、意思決定を容易にし、阻害要因を取り除き、改善すべき領域を特定することを可能にする。

ソリューション

Gioia氏は次のように述べています。「各工場からフィードバックを得る中で、Minitab Engageを紹介されました。ある工場がすでに導入しており、その機能を実演してくれたのです。それにより、テンプレートを作成したり、改善プロジェクトや顧客からの直接的なフィードバックをモニタリングしたりするだけでなく、関連する重要指標をまとめ、組織内で一目で把握できるようにする仕組みとして非常に優れていることがわかりました」

8Dエグゼクティブグローバルメトリクス

「最初に選ばれた重要プロジェクトは、顧客からのクレームを管理するために全社で使用されていた8D(8ステップによる問題解決手法)テンプレートとプロセスを標準化することでした。企業が成長し、他社を買収していく過程で、顧客やISOの要件を満たすために、さまざまなシステムが複数導入されがちです。当社の製造拠点では、当初それぞれが独自の品質管理システムを運用し、個別の8Dテンプレートを使用していました」

京セラAVXはグローバル企業であるため、顧客が複数の製造拠点とやりとりするケースが多く見受けられます。一貫した顧客体験を提供するには、8Dテンプレートと他の関連ツールをグローバルレベルで標準化する必要がありました。


「当社はグローバル企業でありながら、Engageを導入するまで、十分に効果的なコミュニケーションを取れていませんでした」

    京セラAVX 企業品質ディレクター Lori Gioia氏


Gioia氏のチームは、Minitabに対し、ワークブック内で特定の機能を自動化するために使用していたさまざまな数式など、現行の機能について説明し、その上で、サマリーメトリクスを表示するダッシュボードが必要であることを伝えました。京セラAVXチームはMinitabの協力のもと、フォーム、プロジェクト、ダッシュボードを構築するための基本的な設計機能を学び、それらを自社で構築できるようになりました。

京セラAVXの各部門はさまざまなExcel 8Dテンプレートを使用し、自動車業界特有の根本原因分析に関する厳格な要件を管理していました。Gioia氏のチームはこれらのテンプレートの全バージョンを評価し、それぞれから最良の要素を抽出し、最終的なテンプレートの形態を決定しました。その後、これらの情報をEngageに移行して一元化し、モニタリングを容易にしました。京セラAVXの従業員はすでに8Dの教育を受けていたため、Engageでテンプレートが標準化された後、世界の各拠点での移行はスムーズに進行しました。

8Dワークシート

Gioia氏は次のように述べています。「Engageのインターフェイスは、私たちが使用していたExcelのワークブックと見た目も使い勝手も似ていました。当社の従業員はすでにフォームの入力方法を知っており、どのメトリクスがモニタリングされているかについても理解していました。Engageでのデータ入力方法について学ぶ必要はありましたが、難しくはありませんでした」

結果

Minitab Engageソリューションは、京セラAVXの期待を上回る成果をもたらしました。

  • チームワークとコラボレーションの向上:Engageの導入により、世界中のチームが情報と知見を共有できるようになりました。現在では、チーム間で協力し、同一プロジェクトに情報を保存することが可能になっています。
  • 新たな学びの機会:学んだことや、特定のクレームへの対応で有効だった是正措置をチーム間で共有できるようになったことで、世界中の拠点で工場内のサービス改善に向けた新しい方法を見つけ出すことができました。これにより、他の拠点で同じ問題が発生するのを防ぐことができ、再発を未然に防ぐ体制が整いました。
  • 全社レベルでの可視化の向上:どの拠点や部門で、どの顧客からどれだけのクレームが発生しているかを把握できるようになりました。これにより、顧客対応の現状を正確に理解し、製品やサービスの改善に向けて、具体的にどのような取り組みが必要かを明確にすることが可能になりました。
  • 柔軟なテンプレート:工場が変更や修正を希望する場合でも、テンプレートの更新が容易になりました。
  • コスト回避:あらゆるレベルでの可視化により、より迅速に顧客のニーズと問題に対応することが可能になりました。方法論の標準化により、ソリューション導入後のクレーム対応にかかる時間と問題の再発件数が大幅に減少しました。

Engageの稼働開始後、Gioia氏と彼女のチームは8Dの品質のモニタリングと改善に取り組みました。8D採点システムを使用し、各工場がそれぞれの8Dを設定された基準に照らして採点します。その後、全社で8Dを無作為に採点し、システムによる分析が実施され、ギャップが特定されます。そして、監査情報をもとに、フォームやプロセスの改善点が明らかになりました。また、8Dスコアにより、発生している故障モードの種類とその発生箇所を確認できるようになりました。さらに、Boschの14の品質原則に基づき、工場、部門、または全社で取り組むべき重要領域が特定されました。京セラAVXは、これらの情報を戦略計画の策定や必要なトレーニングにも利用しています。

 

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組織

  • 本社米国サウスカロライナ州
  • 約50年にわたり、自動車、産業、医療、防衛、家電製品、通信、輸送市場で事業を展開
  • 全社で「ゼロディフェクト(不良品ゼロ)」の意識を醸成

 

課題

各拠点がそれぞれ独自の品質管理システムと継続的改善プログラムを運用していた。一方で、同社の経営陣は各工場の取り組みの実情をリアルタイムに把握できずにいた。

 

使用製品

Minitab Engage®

 

結果

  • 全社での可視化とコラボレーションの向上
  • 情報と結果の共有による新たな学びの機会
  • より迅速かつ効率的な顧客ニーズへの対応によるコスト回避