品質に支えられた「色」:Crayolaが理想的なクレヨンの提供においてどのようにデータを使用しているかをご紹介します。

さあ、新しい64色のクレヨン箱です。好きな色を選んで、好きなだけ色を塗ってください。遠慮はいりません!クレヨンを見てください。欠けておらず、クレヨンの先はシャープですね。驚くには及びません。Crayolaのクレヨンだからです。

Crayolaはペンシルベニア州東部の工場でクレヨンを100年以上製造しています。子供が創造性を発揮できるクレヨンやカラフルなアイテムを提供し続けて、業界内でリーディングカンパニーの地域を築き上げました。同社の名を知らない人はいませんが、年間22億本ものクレヨンを最高水準にしようと影ながら努力している姿は、知られていません。

Crayolaは、クレヨン、そしてマーカー、絵の具、粘土、その他の製品の品質を高めるためにデータ駆動型継続的改善文化を大切にしており、Minitab Statistical Softwareを使用して、データを分析しています。製造部門責任者であるGary Wapinski氏はこう話します。「私達は何をやってもより良くできるんだと考えて始めます。Minitabが重要な理由はつまり、Minitabで統計分析がわかり、データで進むべき方向性が明白になるという点です。」

Crayolaがデータ駆動型問題解決のアプローチは2007年から始まりました。この年、グローバルオペレーション・エグゼクティブ副社長であるPete Ruggiero氏は、自社の海外拠点を訪問し、問題を実際に目にしました。「店に行って当社のクレヨンの箱を開けたら、一部のラベルが剥がれていたんです。帰国して、『是正しなければ』と言ったのですが、問題の原因について論争がありました。なので、これを解決するための基本的なSix Sigmaプロジェクトを行うことになりました。」

データ分析で示されたのは、ラベルが乾燥していると、接着剤が均一に硬化しないという点です。ラベル貼り機を通過するときにクレヨンに水を噴霧したところ、問題が解決し、プロジェクトが成功したため、Crayolaは統計的手法の使用を拡大しました。Six Sigmaプロジェクト開始の後2008年には150万ドル以上のコスト削減に成功しました。以来、Six SigmaのGreen Belt7波とBlack Beltの3波がプロジェクトを完了しています。これらはいずれもMinitabを使用してデータ分析を行いました。

実践的な取り組みは上から

Lean Six Sigmaのコンサルタント、リーハイ大学非常勤教授であるRich Titus氏は、CrayolaのGreen BeltとBlack Beltを教え、プロジェクトの支援を行なっています。継続的改善プログラムの成功と維持に必要な支援を行なうことから、Crayolaの幹部に頼りにされています。「役員はプロジェクトの選定と承認に積極的に関与していて、プロジェクトリーダーとミーティングを持ち、数週間ごとに進捗状況を確認しています。この確認ミーティングは最大3時間続くこともありますが、役員は電子メールに返信したり、席を外して電話に出たりすることはありません。すべてのプロジェクトに関与し、質問をします。」

幹部の真剣さを感じると、チームはデータ駆動型方法論の重要性をしっかり理解しようと努めるものです。Crayolaの継続的改善・Six SigmaマネージャーJames Collins氏は語ります。「プロジェクトのリーダーは、自分達の提案をデータで示す必要があります。改善のアイデアがあるのは素晴らしいことですが、チャートやグラフ、統計で証明できれば、変化の基盤固めができます。」

Crayolaの幹部は、改善プロジェクトを確認するだけでなく、自分のプロジェクトも行います。Wapinski氏の最新のプロジェクトでは、25万ドルのコスト削減を達成しました。プロジェクトを始めたとき、芸術品や工芸品のコンポーネントをキットに組み立てる作業で、ベテラン作業員に、経験の浅い作業員の小さなチームを監督してもらいました。「Minitabで、ベテラン作業員が率いるラインと経験の浅い作業員が率いるラインを比較しました。安全性、効率、品質に違いはありませんでした。キットの組み立て工程は小さいが限定的であるので、チームを率いることに対してベテラン従業員に給与を支払っても大きなプラスにはなりません。そのため、ベテラン作業員がその経験を活かせる領域に移れるのです。」

Crayolaの厳密なデータ駆動型改善プロジェクトは、クレヨンの品質を維持および強化するのに役立ち、Crayolaは、Minitab Statistical Softwareでのデータ分析に信頼を寄せています。

Crayolaの多くのプロジェクトが、完璧なクレヨンを作るという目標に寄与しています。エンジニアは、Minitabの測定システム分析(MSA)および実験計画(DOE)ツールを使用して、クレヨンの破壊強度を調べました。これは、最終的に新しい基準、さらには新しいクレヨン破壊試験機の開発につながる取り組みです。

グローバル品質・継続的改善部門の副責任者、Bonnie Hall氏はこうも語ります。「当社は100年以上クレヨンを製造してきましたが、信頼性の高い一貫した強度測定については行っていませんでした。成分の変更を試験するたびに、差別化できたかを調べるために何万本ものクレヨンを壊す必要がありました。今では、クレヨン強度を評価するのがはるかに速く簡単になりました。」

根本原因と実用的な解決策

Gary Wapinski氏は、Crayolaに入社する前に、データ分析の悪い例をたくさん見てきました。「データで進むべき方向を見いだすのではなく、自分の命題を裏付けるデータを見つけることにばかり時間をかけていました。

多くの人は、問題の根本原因にたどり着くまでの面倒な作業を避けたがります。機器が3分ごとにシャットダウンするようなら、手っ取り早く機器を新調して解決だ、などとを考えがちです。ですが、根本原因が工程、材料、人材の教育に関係しているならば、新しい機器を購入しても是正されません。形だけではない、本当の改善を行いたいという意思があれば、規律ある問題解決とMinitabのような強力なツールを組み合わせる方向に自ずと向かうわけです。」

Minitabを使用すると、従来の考え方が覆されることがあります。たとえば、ライン速度を下げ、人員を10人から5人に減らすことで、工程改善ができたときなどです。「このような変更をしたら、生産量が減るのではと思えますが、Minitabの能力調査では、半分の労力、低速で、同じ生産量を得られることが示されました。機械の速度を上げるとむしろ、ダウンタイムと廃棄が増えてしまうのです。さらに、ラインの人員は、高速の機械に追いつこうと頑張らなくて済むので、歓迎されます。」とWapinski氏は語ります。

Crayolaのエンジニアは、Minitabを活用したデータ分析で、金型内の色と位置がクレヨンの先端の強度にどのように影響するかを可視化することができました。

品質向上プロジェクトの影響で、作業内容は変わったかもしれませんが、職を失った人はいません。「始めたばかりのときは、従業員は私たちが何をしているのか、リストラがあるんじゃないかなどと疑っていました。今は、競争力を高め、皆の職を維持するための継続的改善に励んでいるのだと皆に理解してもらっています。」とRuggiero氏。

持続的な改善

Crayolaは、改善を持続可能にしたいと考え、プロジェクトで節約できた分を予算に組み込んでいます。「PowerPointを作成するだけでは、削減できたコスト額を提示できません。節約に基づいて、工程の標準コストを再計算し、次に節約した金額を提示します。」とRuggiero氏。

データの使用は、Crayolaのサプライヤーにも影響を及ぼします。たとえば、サプライヤーと提携して、段ボール箱の欠陥の数量を減らしました。「歪みのない箱が必要です。少しでも歪みがあると、自動梱包機を通りませんので。」とHall氏。

このプロジェクトでは、年間5万6,000ドル相当の欠陥を減らし、欠陥が再発し始めたときに、データを細かく見ることの別のメリットが明らかになりました。「定期的に分析を行なったことで、品質が低下し始めたことがすぐに判明したので、サプライヤーと協力して問題をすみやかに解決できました。」

Crayolaの品質チームは、Minitab Statistical SoftwareのAssistantメニューを常時活用しています。ユーザーの分析をガイドし、明確でわかりやすい結果とグラフが提供されています。

データに対する意識の文化

Crayolaの品質の取り組みに関わる人は、時間をかけて行なうものだと心得ています。「スイッチを入れたら、突如素晴らしい会社になるわけじゃないですが。」とWapinski氏。とはいえ、Minitabを使用したデータ分析はすでに日常業務の一部になっています。パレート図、箱ひげ図、仮説検定、管理図、能力分析なども今や一般的な光景です。

「Minitabは、データを管理および調査するための日々常用されるツールです。また、Minitabを活用することで、ビジネスの問題についてのコミュニケーションもずっと容易になっています。データを十分に理解していることが期待されています。これにより、問題の根本をより迅速に突き止めることができるのです。」とHall氏は言います。

データを分析して処理できるようになったことで、Crayolaのビジネススタイルは一変し、そのメリットは業務全体にまで及びました。「これにより、最も価値あることに資源を集中させることができます。当社の文化は『臭いものには蓋をする』から、『解決するため蓋を開け、可視化しよう』に変わったんです。」とRuggiero氏は語ります。

Crayolaは、Minitabを使用してデータを分析することでクレヨンの強度を評価し、新色や新作が厳格な品質要件を満たせるよう、新しい基準を開発するに至りました。

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組織

Crayola

 

概要

  • 本社ペンシルベニア州イーストン
  • 世界の従業員数およそ2,000名
  • 年間22億本のクレヨン製造

 

課題

世界最高のクレヨン、マーカー、その他の画材を提供することで、子供達に創造性を発揮できるようにする。

 

使用された製品

Minitab® Statistical Software

 

結果

  • 新しい指標とクレヨン試験方法
  • 初期のプロジェクトだけでも150万ドル以上節約
  • データ駆動型の問題解決が日常に